森の賢者を目指すブログ

持論を垂れ流します。目下の目標は本嫌いの人を一人でも減らす事です。少しずつ文章の構成力とかも上げていきたいです。どうか皆さんお付き合いくださいな。

#23 誰得シリーズです (他)

こんにちは。T0M0です。

今回は気持ち悪いオリジナルの短編小説です。

時間の無駄遣いの方法を模索中の人だけご覧下さい。

 

 

 

 

魁(さきがけ)

 俺はこの国で一番早く外の世界に這い上がった。

生まれてから今まで長かった。

意味も分からずにこれまで生きてきたが、ようやく理解出来たよ。

全てはこの瞬間に辿り着く為の準備だったんだ。

他の奴らはまだ地の底にうずくまっている。

これこそ他の誰よりも自由と希望を求めていた証明だ。

全身に力がみなぎる。俺はようやく本当の姿を手に入れた。

さぁ飛ぼう、俺はどこへだって行ける。

 

楽しい。楽しい。楽しい。今というこの瞬間が。

風と共に空を旅し、張り裂けそうな声で叫ぶ。

この世界が自分の物になった様な錯覚を覚える。

こんな小さな体でお笑い種だろうが。

でもそんな事もどうでも良い。俺は幸せだからだ。

 

早い。あまりにも早い。

さっきまでいた空があんなに遠く感じる。

体に力が入らない。もう一度飛ぼうと思う気力すら尽きてしまった。

自分の体の脆さを呪う。

生きている意味なんて考えた事も無かったが、こうして死を目の前にするとそんな事ばかり考える。

俺がこの世界に生きた事で何か変わっただろうか。

否、俺が居なかったとしても世界は何も変わらなかったはずだ。

では何故、俺は生きていたのか。

俺は幸せだった。いや・・・

俺は本当に幸せだったのだろうか。

分からない。もう何も考えられない。

って、うおおおおおおおおお!!!!??

危ねえええ!踏み潰されるとこだった!!怖え!!

まだ飛ぶだけの力が残っていて良かった。

まだ大丈夫、もう少し生きられる。あと少し。

少しでも長く・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

よぉ、あれからどれくらい経った?俺は懸命に運命に抗ってるよ。

はは、そうか。人間様は長生きできて良いな。

でも俺ももう限界みたいだ。悔しいけどな。

最後に頼みがあるんだ。難しい事じゃないからよ。

たまにで良いんだ。夏の初めにでもよ、

一匹だけ早く出てきた蝉がいたなぁ。って思い出して欲しいんだ。

見苦しく地面でギーギー言ってたな。ってよ。

それだけでいい。それだけで満足だ。他にはもう何も要らねぇよ。

だからさ、頼む。

じゃあ、あんたも元気でな。あばよ。

 

おわり

 

 

筆者の家の近くではまだ本格的に蝉の声は聞こえてませんが、道端で蝉が転がっているのを発見いたしました。

なんだか感慨深いものを感じまして。

当たり前だけど、今年で一番早く出てくるやつも、秋まで粘る最後の一匹もいるんですよね。

彼らは何の為に生きてるのかなぁ。とか。

他の動物もそうだし、人間だってそう。

発達した脳みそで色々と難しい事を考えて、生きる意味とか幸せとか逆に見失っている感があるんですがどうでしょう?

生まれたから生きてる。くらいの気持ちでも良いと思うんですけどね。

いやぁ人間は難しいなぁ(笑)

元気に楽しくシンプルに、生きたいもんです。

皆さんも体は大切に。うん。